つばさ通信12月号より ~管理者のつぶやき(抜粋)~

上手く使わないともったいないな、というお話し。

 だんだんと年の瀬になってくると、「新しい年に向けて」とか「心機一転」なんて気分になり、ふと思い立ってモノを片付けたり、整理したりします。普段からやっておけばいいのに突然取り掛かるものだから、ビニールに包まれたまま出てくる1年前のシャツとかが発掘されると、あまりのもったいなさに我ながら呆れてしまうというか、うんざりした気分になります。

 人間が関心を向けられるエネルギーには限りがあるようで、モノやコトがその人の認知的なキャパシティを超えてしまうと、そのモノやコトへの意識そのものがなくなってしまうことがあります。やらなければいけないコトが多すぎたり、取り扱わなければいけないモノが多すぎると、最終的に手がつけられず、残念な結果になってしまうことがよくあり、本当にもったいないなと思います。

 先日、文京区の相談支援事業所連絡会に参加させていただいた時のこと。特別支援学校の先生がゲストとして参加され、「学校生活支援ファイル」と文京区独自の連携ファイルである「ふみの輪」を相互的に活用させたい、というお話がありました。
 「学校生活支援ファイル」は、文科省がすすめる「個別の教育支援計画」の東京都版であり、教育現場での指導の一貫性を保ち、学年が上がっても先生同士でスムーズに引き継げるように開発されたファイルです。文京区の「ふみの輪」も、幼児期から成人期まで切れ目のない一貫性のある支援が受けられるよう、情報を共有化できるよう作られたファイルで、今年度から新たに始まったこころみです。どちらのファイルも「一貫性」「情報の共有」を目的にした支援ツールであり、以前から話しとして聞いてはいましたが、今までまったく活用できていませんでした。まさに「タンスの中で眠っている服」みたいに、最初は「いいな」と思っても、日々の活動のなかで埋もれていった典型例だったのです。まったく「もったいない」話しでした。

 福祉でも教育でも、支援の質の向上を目指して、年々様々な試みがなされています。しかし、やらなければいけないコトやモノが多い状況では、部分的には向上しても、全体としての質の向上に繋がらないケースがたくさんあるように思います。この「学校生活支援ファイル」と「ふみの輪」も、このまま埋もれたままにしておくのは本当にもったいないですし、上手く活かす「しくみ」を作る必要があると感じました。

 おそらくここに、放課後等デイサービスが活かせる場面なのかなと思います。学校生活支援ファイルもふみの輪も、本来の目的は「繋げる」ことにあります。そうであるとすると、「児童期から成人期を繋ぐ」放課後等デイサービスが、両ファイルを活かして、支援の一貫性を繋げていく役割を担っていかなければいけないと思います。これからの放課後等デイサービスには、お子さんの通っている学校との「横の連携」に加えて、児童期から青年期を繋ぐ「縦の連携」もまた求められています。「学校生活支援ファイル」と「ふみの輪」を活用しながら、縦横連携の仕方を模索していきたいと思います。
(文責:向井崇)